企業成長の鍵は、「対話」と「仕組化」のアプロ―チによる社内コミュニケーション活性化にあり

IT化が進み、社内での情報伝達にも様々なツールが使われるようになっているが、便利なツールがあるというだけで社内のコミュニケーションが円滑にいくかと言えば、そうとは限らない。ここでは、各機関が実施した職場におけるコミュニケーションに関する調査から、良好な情報伝達手段と、それを業績に繋げるためのポイントを探っていく。

情報共有とコミュニケーションはイコールではない

HR総研(ProFuture株式会社)が2017年9月に実施した「社内コミュニケーションに関するアンケート」では、「社内のコミュニケーションに課題があると思うか」との問いに対し、約8割の企業が、「課題を感じている」と回答。前年に実施した調査とほぼ同じ結果となった。 また、「コミュニケーション不足は業務の障害になるか」の質問に「そう思う」と回答した企業は96%にのぼり、組織の活性化や生産性の向上にコミュニケーションの充実は欠かせないと感じながらも、現状苦労している会社が多いことが伺える。

アンケート結果から、社内での情報伝達手段のメインツールはメールであることがわかった。また、イントラ(社内掲示板)を活用している企業も多い。一方で、そうしたツールはあくまで「情報発信=情報共有」の手段の一つとなっているだけで、双方向のコミュニケーションが取れるとは限らず、結果的に会話の減少に繋がっていると懸念する声も多い。ITツールを活用することで、情報の伝達はできているものの、「業務上必要な情報を共有すること」と「社内コミュニケーションが充分にとれていること」は別と感じ、特に後者の課題感が大きいようだ。

それを裏付けるように、社内コミュニケーションの活性化に効果があった施策を回答する設問でトップになったのは「運動家・スポーツ大会」。業務とは直接関係のない部分での繋がりが挙げられているのである。
業務に関連する部分でも、「経営層との定期ミーティング」や「若手同士の横の繋がりを持つ機会の創出」など、対面でのコミュニケーション活性化が効果的と感じている人が多いようである。

部下のパフォーマンス向上には上司との良好なコミュニケーションが必要

同アンケートによると、社内コミュニケーションにおいて、「経営層と社員」「部長とメンバー」「課長とメンバー」のように、「上司と部下」の壁を課題に挙げる意見が目立つ。これは、直属の上司との間に期待されるコミュニケーションの量や質が、充分でないと感じている人が多いことの表れではないだろうか。
実際に、人と人とが関わり合って働く組織の中では、上司とのコミュニケーションが社員のモチベーションやパフォーマンスに影響するというのはよくある話だ。
コーチング研究所が行った「組織とリーダーに関するグローバル価値観調査2015」で、「会話の充足度が高いほど関係が良好と感じる」というデータが示されているのを見ると、上司との関係を良好と感じさせるには、会話の充実度が要素として挙げられると言える。
ちなみに、会話の充実度を図るには質も重要であり、上司が話している時間が、部下が話している時間より長くなると、充足度が低くなることが明らかになっている。

まずは、「わざわざ」時間を設けよ

社内コミュニケーションを活性化させ、生産性の向上を図る施策として注目されているのが、ヤフー株式会社が2012年から行っている「1on1ミーティング」である。「1on1ミーティング」とは、上長と部下が定期的に対話する機会を設けるという取り組みで、2012年の人事改革で人事部門の責任者となった本間浩輔氏が、自身の過去の経験から得た「コミュニケーションは頻度」という考えをもとに制度として始めた。半年や1年に1度の評価時に業績フィードバックの面談を行っている企業は多いだろうが、「1on1ミーティング」はそれとは頻度や内容が大きく異なる。

「1on1ミーティング」では1~2週間に1度、1回につき約30分間、上司と部下が「わざわざ時間をとって」一対一で話しをする。目的は、上司と部下の間で質の良いコミュニケーションにある。社会全体で若者のメンタルダウンや早期離職が問題となる中、社員の声に耳を傾けることでモチベーションを維持させ、一人ひとりのパフォーマンスを上げて企業の業績向上にも繋げていくのが狙いだ。

効果的な「1on1ミーティング」を実施するため、管理職は「コーチング」「ティーチング」「フィードバック」のスキルを身に付ける訓練を受けるという徹底ぶりだ。

この取り組みは、最初の頃こそ反対の声が聞こえたり、狙い通り進まなかったりしたようだが、現在は「1on1は価値があるもの」という認識がヤフー社員の間に広まっているようである。

社員の特性を正しく理解し、効率的な人員配置を

対面で会話をすると、文字面だけではわからないことや本音が見えてくる。表面的ではない、社員それぞれの本当の特性を掴むことは、昨今日本でも注目されている「タレントマネジメント」にも結びついていると言える。
タレントマネジメントとは、社員の適正を活かした戦略的な人員配置や人材開発の仕組み・概念のことで、労働人口が減少して効率的な人員活用が求められる中で重要視されている。社員一人ひとりの特性やスキルを正しく理解し、適切に活用できるかが、これから企業が生き残っていく力のひとつとなるのは間違いないだろう。

社内コミュニケ―ションを組織の成長へと繋げていくためには、対話というソフト面と、それを仕組化して管理するハード面でのアプローチ、両方が必要になる。それには、「上司一人ひとり」にコミュニケーションの手腕が問われてくるといえるだろう。今こそ各々がその自覚を持って、部下と接するときなのである。

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