ブルームバーグ（Bloomberg L.P.）は2018年10月、先進国および新興国の合計20ヵ国でフルタイムに働く30〜65歳の現役ビジネス・プロフェッショナル2,000人を対象に実施した、ニューエコノミー・グローバル調査の結果を公表した。

本調査は、新興諸国の台頭に伴って将来に対して、現役ビジネス・プロフェッショナルが抱く機会、課題、懸念、期待などをグローバル規模で調べるもの。2018年9月に実施された。

調査対象の20カ国は、先進国が米国、韓国、日本、シンガポール、英国、ドイツの6カ国、新興国は中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、ロシア、トルコ、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカ、サウジアラビア/UAEの14カ国。

ここでは、設問別に傾向を見ていく。

■『世界の貿易システムは元の正常な機能を回復すると思いますか？』（全体）


※ブルームバーグ エル・ピー調べ

・すぐに回復する…24%
・時間はかかるがいずれ回復する…50%
・別のシステムに取って代わる…12%
・分からない…14%

全体では「すぐに回復する」（24％）と「時間はかかるがいずれ回復する」（50％）を合わせて、74％が回復すると見ている。しかし、日本の回答者は短期間、あるいは時間をかけて回復すると答えた人は48%に留まった。また、「別のシステムに取って代わる」との回答が28%（全体では12％）と、世界で3番目に高い割合であった。

■『5年後に世界の貿易量は増加していると思いますか？』（全体）


※ブルームバーグ エル・ピー調べ

・増加している…55%
・減少している…18%
・現在と同程度…17%
・分からない…10%

全体では55％が「増加している」と回答した。先進国、新興国別に見ると、「増加している」と見ているのは先進国が36％、新興国は63％となった。新興国で「増加している」との回答が多かったのは、中国（66％）、インドネシア（74％）、フィリピン（76％）、タイ（80％）、インド（71％）。このことから、保護主義的感情が高まっている先進国よりも開発途上国のほうが、貿易見通しについて楽観視していることが明らかになった。

■『世界が直面する重要課題の中で最も重要、または早急の対応が必要だと思う課題は何ですか？』（全体）

1位：グローバル・ガバナンス（26%）
2位：貿易（18%）
3位：テクノロジー（15%）
3位：気候（15%）
5位：ファイナンスと資本市場（14％）
6位：インクルージョン（7％）
7位：都市化（5％）

「グローバル・ガバナンス」が26％で最多。特に回答率が高かったのはインド（39％）、フィリピン（35％）、マレーシア（31％）、中東（41％）。これは政府のリーダーシップに対する信頼感の欠如を示唆している。しかし、一方では『世界的課題に対する友好的なソリューションを見出すためのイニシアチブにおいて、誰が主導権を発揮するべきだと思いますか？』との設問に対して、全体の75％が「世界のリーダー」（41％）や「政府」（34％）と答えた。これらのことから、世界的課題に対して世界のリーダーや政府に対して主導力を発揮するべきと考えつつも、現状では対応が追いついていないと考えられる。

■『今から10年後にどの国が世界の３大経済大国になっていると思いますか？』（上位5位まで記載）


※ブルームバーグ エル・ピー調べ

1位：中国（86%）
2位：アメリカ（70%）
3位：日本（36%）
4位：インド（35％）
5位：ドイツ（23％）

今から10年後にどの国が世界の3大経済大国になっているかとの問いに対して、最も回答が多かったのは中国（86％）。次いで、米国（70％）、日本（36％）の順となった。

■『デジタル化が進んだ将来に対する備え』（全体）

・新しい技術を学んでいる…60%
・AIへの傾倒…34%
・何もしていない…12%

全体の60％が将来に備えて新しい技術を学んでいると回答したが、その割合は先進国が低く43％と低い。その傾向は米国（30％）、英国（33％）、ドイツ（42％）で顕著に見られた。

新興国、特に中国、インド、ベトナムのビジネス・プロフェッショナルは人工知能（AI）への志向が非常に高く、AIによって新たな職業機会が生まれ、実質的には経済に恩恵がもたらされると考えている。新興国のビジネス・プロフェッショナルで、将来に備えるための計画が何もないと答えたのはわずか5％だった。

一方で、先進国では27％のビジネス・プロフェッショナルが将来に備えるための計画が何もないと答え、回答者全体の平均（12％）を上回った。