ゴーン氏の報酬50億円は「高すぎる」が6割。スピード解任肯定派は約4割
日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が11月に逮捕されました。驚かれた方も多かったのではないでしょうか。日産をV字回復に導いた立役者として、辣腕をふるったカリスマ経営者である反面、権力集中により絶対的な力を持っていたという話も明るみになってきています。そんな中、PRO-Qユーザーの皆様は今回のゴーン氏の逮捕劇についてどう考えているのでしょうか? 2018年12月4日~2019年1月8日まで、アンケートで調査しました。
ゴーン氏の逮捕で驚いたことは「報酬金額」と「罪状」
最初に、PRO-Qユーザーの皆様がゴーン氏の逮捕について何に驚いたかを見てみましょう。『カルロス・ゴーン氏が逮捕されました。一番何に驚きましたか?』との質問に対して、「報酬金額」と「罪状」がそれぞれ29%でトップでした。また、「内部告発」についても21%で第3位となっています。
退任後のゴーン氏の報酬50億円は6割が「高すぎる」
次に、退任後のゴーン氏の報酬50億円をどう思うのかを見てみましょう。『退任後に受け取ることになっていたゴーンの報酬(約50億円)についてどう思いますか?』との質問に対し、過半数である60%が「高すぎる」との回答でした。ただし、この回答は、メーカーに所属する人と非メーカーに所属する人とでは多少の違いがあります。「高すぎる」と回答したのは、メーカーが「46%」であるのに対し、非メーカーは「67%」となっています。メーカーである日産自動車の報酬に対する見方は、所属企業がメーカーであるか非メーカーであるかで異なることが窺えます。
ゴーン氏の「スピード解任」を肯定するのは約4割
ゴーン氏が日産自動車と三菱自動車からスピード解任されたことについてどう思うのかを見てみましょう。『逮捕後、日産自動車と三菱自動車は会長職をスピード解任しましたが、ルノーは会長兼CEO職を継続させています。両者の対応の違いをどう考えますか?』との質問に対し、「日産・三菱自動車が正しい」とするのは36%です。「ルノーの対応が当然」の15%と比較すれば多数ではあるものの、「どちらとも言えない」が49%を占め、全体としては少数になっています。ゴーン氏が逮捕はされたものの、有罪はまだ確定していない段階での解任に対しては懐疑的であることがうかがえます。
最後に、今回のゴーン・ショックについての意見を自由に回答してもらいました。以下にその内容を抜粋して紹介します。
【ゴーン氏に問題あり】
- 高額報酬との情報はあったが、ここまでとは思わなかった。欧米と日本との報酬感覚の違いもあるが、あまりにも違いすぎる。また、企業の私物化との印象も強く当然の処置だと思う。(従業員数:1000名以上、メーカー)
- 妻が日産勤務。ゴーン・ショックの後にも不正検査発覚。大学同期と部の先輩が同社に入社している(いた)し、自分も一時期日産車に乗っていたが、妻がゴーン失脚で喜んでいた。自分は、「郷に入れば郷に従え」を信じている。今思えば。「リバイバルプラン」も急進的すぎた感が・・。起こるべきして起こった事件だと思う。(従業員数:1000名以上、マスコミ・コンサル)
- あまりにも権力が集中していたことに驚きました。一部上場企業で、まったく相互牽制が機能していない状況では株主及び社員に対する信頼がまったく失われる状況と思われます。企業体質の透明度を上げないと、今後ユーザーも逃げていくのではないでしょうか。いずれにしても貰いすぎです!(従業員数:300名未満、サービス)
- 日産の経営を建て直したゴーン氏がこんな不正をしていたのは正直残念でなりません。(従業員数:300名未満、商社・流通)
【日産にも問題あり】
- 退職後に受け取る予定のお金はゴーンの所得とみなされるのか、また、会計処理が正しくなかったならば日産特に監査役の責任が指摘されるべきなのに、内部告発から始まり司法取引をして会社の罪は軽くゴーンの責任にしていることに違和感を覚える。(従業員数:1000名以上、メーカー)
- 有価証券報告書の虚偽記載ということは作成した法人にも責任が及ぶはずである。その動向に注目したい。(従業員数:300~1000名未満、サービス)
- 日産はクーデターを繰り返す会社。今回もクーデターだと思うが、私なりにゴーンの罪状を一つ一つ検証すると、無罪としか思えないのだが。(従業員数:300名未満、メーカー)
- メディアは検察情報か日産からの意図的なリーク情報しか報道しないので本当のことがわからない。少なくとも言えることは2つ、ゴーンが問題ある人だったとしてもそれを一部上場会社内で何もできなかったのであれば、日産の役員や関係社員は全員役立たず。もう1つはあまりに拘留が長く、これは国際的に見ても先進国の人権感覚ではない。国際的な日本の信用性、信頼性にボディブローになるだろう。(従業員数:300名未満、メーカー)
【個人や会社だけの問題ではない】
- 今回は日本だから発生した事案だと考えている。横並びの護送船団方式の成れの果てではないか。成果を出した経営者が報酬を受け取るのは当たり前のことで、報酬の50億が100億であっても当然だと考えている。(従業員数:1000名以上、サービス)
- ルノーが国の出資を受けているからフランス政府が出てくるのはおかしいと思う。中国やサウジの国営企業の経営問題に何でも政府が口出しするのかというとそんなことはないからだ。フランス政府のカウンターパートは日産・三菱ではなく日本政府なので経産大臣が出てくるのも変だ。グローバル化のゆがみを見せつけられた気がする。(従業員数:300~1000名未満、サービス)
- アメリカ政府の関与など国家間の思惑がからんでいる可能性もあり、陰謀的な要素も感じる。ゴーン氏の報酬は国際的な水準から見れば妥当な線でもあるかも知れないが、事実関係を隠ぺいしていたとみなされる行為があったならば、道義的には許されるべきではないと思う。(従業員数:300~1000名未満、マスコミ・コンサル)
- 業界の噂だった「このままでは日産が仏産になる」「新型車が出せず国内で地盤沈下する日産は我慢の限界」「マクロンさんは移民対策・ドイツへの対抗意識・提督になりたいのでフランスに工場を作りたがっているが、ルノーもロシアに工場を作った日産も嫌がっている」「経産省がウルトラCを画策中」「もうすぐ何かが起こる」が現実になりビックリしましたが…。政府が出てマクロンさんを収めて資本と力関係を企業間だけで調整して今のアライアンスを続け、日産の意思がもっと通る形に改めないと、中国かインド資本の会社に抜かれ、世界一の電気自動車とプラグインハイブリッドを作れる面白い車を作れるメーカーが安く買われる運命になるのではと考えています。(従業員数:300名未満、メーカー)
【調査概要】 アンケート名称:「ゴーン・ショック」に関する緊急アンケート
調査主体:PRO-Q編集部(ProFuture株式会社)
調査期間:2018年12月4日~2019年1月8日
調査媒体:アンケートメディア ビズPRO-Q
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