2030年の人手不足は644万人へと深刻化が進む ― パーソル総合研究所と中央大学が共同研究の成果発表

総合人材サービス、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファーム・パーソル総合研究所(東京都渋谷区)と、中央大学(東京都八王子市)は、2018年10月、共同研究として取り組んできた「労働市場の未来推計2030」の成果をまとめたレポートを発表した。


2030年までの人手不足数や人手不足の対策に関する推計値など、概要は次のとおり。


2020年の人手不足は384万人、25年は505万人と深刻化が進む見込みで、2030年の推計値は、644万人。推計ではこの年、労働需要が7,073万人で、労働供給は6,429万人。ただし、失業者の61万人は除く。

産業別にみると、2030年時点で最も人手が不足するのはサービス業で400万人(需要は2,101万人であるのに対し、供給が1,701万人)。次いで人手が足りないと見られるのが医療・福祉の187万人(需要1367万人、供給1180万人)であった。卸売・小売は3番目で60万人足りない(需要1129万人、供給1070万人)と試算されている。以降、製造業の38万人、通信・情報サービスが31万人、教育は28万人、運輸・郵便で21万人と続き、多くの産業で人手が足りなくなることが予想される。

職業別にも試算されている。人手不足が最も生じるのは専門的・技術的職業従事者で212万人。専門的・技術的職業従事者とは、研究者、製造技術者、情報処理・通信技術者、医師、保育士など。次いで事務従事者(庶務事務員、人事事務員、企画事務員、総合事務員など)で167万人の不足となる見込み。以降を需要に対して供給が少ない順、つまり人手が多く不足する順に列記すると、運搬・清掃・包装等従事者(郵便、電報外務員、配達員、ビル、建物清掃員等)が90万人、サービス職業従事者(介護職員、看護助手、理容師、調理人、飲食物給仕従事者等)は71万人、生産工程従事者(生産設備制御・監視員、製造・加工処理従事者、機械検査従事者等)の60万人となっている。

都道府県別にみると、人手不足が最も深刻なのは東京都で133万人。次いで、神奈川件の54万人。首都圏は総じて需要に対して供給が下回っており、千葉県が36万人、埼玉県では28万人も人手が足りていない。地方では愛知県が36万人、静岡県は24万人、兵庫も22万人が不足するという。

レポートでは、人手不足の対策として、働く女性やシニア、外国人を増やす、AI等の技術革新による生産性向上などが挙げられている。それぞれの分野で対策を取ることにより、働く女性を102万人、シニアを163万人、外国人を81万人増やし、AI等の技術革新で298万人と、合計644万人の不足を埋められるとしている。ただし、この数値は実質賃金が時給換算で240円上昇していることが前提となる。賃金上昇がこれに達しない場合は、その分、不足人員も増えるという。

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