フレキシブルな働き方の導入で、2030年までに世界で10兆ドル超の経済効果と試算

リージャス・グループは、経済学者スティーブ・ルーカス氏の協力のもと、フレキシブルな働き方がもたらす経済効果について、各国のデータから導き出された指標をもとにした経済モデルをそれぞれに適用し、2030年までにどのような影響があるかを調査し、結果を発表した。

なお、対象となった16の国と地域は、オーストラリア、オーストリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、香港、インド、日本、オランダ、ニュージーランド、ポーランド、シンガポール、スイス、イギリス、米国。

コスト削減と生産性向上による経済効果は実に10兆円超

経済的なメリットについて、調査では下記のようにサマライズしている。

・フレキシブルな働き方は、この16の国と地域で、2030年までに10兆400億ドルの経済効果をもたらすと見込まれている。これは、日本とドイツの現在のGDPを合わせた以上の金額に相当する。

・2030年までに米国は、フレキシブルな働き方から年間4. 5兆ドルの経済効果を見込んでいる。これは米国の現在のGDPの20%以上であり、ドイツの現在のGDP総額を超える金額。

・中国でフレキシブルな働き方をする人々の割合は、比較的小さいものの、フレキシブルな働き方に関連した経済効果は最大であると予測されている。2017年と比較した場合、2030年は193%の増加見込みで、総額1.4兆ドルの増加に相当する。

調査によると、多くの先進国では2030年までに雇用者の8~13%がフレキシブルワークプレイスで業務を行うことが予測される。フレキシブルな働き方の増加により、企業はコスト削減が実現し、生産性が向上する見込み。最終的には、基幹的な事業全域からサプライチェーンに至るまで経済全体に波及効果がもたらされる。

具体的なメリットとしては、企業と個人の生産性向上、フレキシブルワークスペースの使用によるオフィススペースの経費削減、大幅な通勤時間の節約があげられる。これらすべての要因が、フレキシブルな働き方の付加価値として経済に寄与する。

中国とインドでは、フレキシブルワークスペースによって粗付加価値(GVA)が最大の増加率を示し、GVAが中国で193%、インドで141%増加すると見込まれる。これは、中国においては年間1兆4,000億ドル、インドおいては年間3,758億ドルに相当する。

米国では、フレキシブルな働き方による付加価値の増加率は109%と中国やインドよりも低いものの、粗付加価値は最も高く4.5兆ドルになる見通し。

フレキシブルな働き方が個人の時間を取り戻す

また、今回の調査では、フレキシブルな働き方が経済だけではなく個人にもメリットがあることが明らかになった。下記のようにサマリーをまとめている。

・フレキシブルな働き方によって、この16の国と地域では、2030年までに通勤時間が35億時間以上も節約できると予測される。

・米国でさらに多くの人々がフレキシブルな働き方を実践すれば、約9億6,000万時間の節約が可能。これは米国の労働者全員の休日がほぼ1日増えることに相当する。

・中国では時間の節約によって見込まれる利益が最大であり、フレキシブルな働き方をすることで、通勤時間が14億時間も節約できると予測されている。

「仕事が好き」と言えるリモートワーカーの割合は、同じ業界でオフィス勤務をしている人たちと比べて、約2倍にのぼる。

この最大の要因は、リモートワークやフレキシブルワークによって個人が時間を節約できることにある。現在よりも高い割合でフレキシブルな働き方が採用されることを想定した加速的な成長モデルを適用して算出した場合、2030年までにリモートワークで節約できる通勤時間はのべ35億3,000万時間と算出された。これは、毎年201万人が仕事に費やす時間に相当する。

この加速成長シナリオによって通勤時間を最も節約できるのは、中国、米国、インド、日本であると予測されている。通勤時間を削減することによって、中国の労働者は時間を2時間多くに使えるようになり、米国の労働者は休暇を約1日増やすことができる。

調査レポートをまとめたDevelopment Economics社のスティーブ・ルーカス氏は、次のように述べている。

「この調査が示しているように、フレキシブルな働き方は個人の時間を取り戻し、雇用創出と生産性向上によって経済を活性化させ、社会に多大な貢献をします。これらの予測は、フレキシブルな働き方が企業や人々にとって、今後採り入れるべき強力な経済力であることを示しているのです」

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