デジタルエコノミー時代に求められるキャリア形成とは?
「デジタルエコノミーの動きに不安感…」64%
あなたはデジタルエコノミーに対してどのような意識をお持ちだろうか。ワークデイ株式会社が、IDC社と共同で実施した「デジタルエコノミー時代における従業員の意識調査」によると、日本の従業員のうち43%がデジタルエコノミーのもとで職を失うリスクがあると考えていることがわかった。調査対象となったアジア パシフィック諸国(日本ほか香港、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、シンガポール、マレーシア、韓国)の中でも特に日本の回答者は、スキルに対する強い懸念を抱いており、64%が「デジタルエコノミーのもとで競争できる適切なスキルが無いことに不安を抱えている」と回答している。
類似した調査も紹介しよう。エン・ジャパン株式会社がミドル層専用の転職求人サイト『ミドルの転職』上で、サイトを利用している転職コンサルタントを対象に行った「AIに代替される仕事/されない仕事」に関するアンケート(有効回答数: 181名)によると、「現在担当している業務の中に、10~20年以内にAIに代替されてなくなってしまう業務はあると思いますか」という問いに対して、81%の人が「あると思う」と回答。さらに「現在就業している職種の中で、AIに代替されてなくなると予想される職種は?」と問うと、以下のような職種が上位に挙げられた。ここでは5位までを記載する。
・経理・財務・会計系(42%)
・秘書・アシスタント・一般事務系(41%)
・コールセンター(37%)
・人事・総務系(32%)
・会計士・税理士(28%)
さらに、「AIに代替され、なくなるであろう職業が多い業種は?」と問うと、以下のような結果となった(こちらも上位5位まで記載)。
・IT・インターネット(41%)
・コールセンター(41%)
・金融(34%)
・メーカー(コンピューター・通信系)(30%)
・メーカー(機械・自動車・メカトロ)(27%)
いずれの結果も、デジタルエコノミーの動きへの不安感が強く現れる傾向となった。
AIに代替されない仕事とは?
では、AIに仕事を奪われずに済む仕事とは、どういうものだろうか。エン・ジャパンの調査で、「現在就業している職種の中で、AIに代替されないであろう職種は?」と聞いている。挙げられた職種は以下の通り(上位5位まで記載)。
・経営者・COO・経営幹部(77%)
・経営企画・事業企画系(46%)
・営業系(38%)
・弁護士・弁理士(30%)
・人事・総務系(28%)
5番目に「代替されないであろう」と挙げられた、人事・総務系は、「なくなると予想される職種」にも挙げられている。進化したAIが人事業務を代替してしまうかどうかは、まだまだ意見が分かれるようだ。
次に「AIに代替されず、なくならないと考えられる業務は?」と質問したところ、以下のような結果となった(上位5位まで記載)。
・相手の意見を汲み取り、臨機応変に対応する必要がある業務(80%)
・他者とコミュニケーションを取りながら進める業務(63%)
・マネジメント業務(47%)
・新たな業務やサービスを企画する業務(42%)
・複数のものを組み合わせてアレンジする業務(24%)
上記の1位~3位の業務は、いずれも高いコミュニケーションや創意工夫が求められる。AIが進化してもこれらについては、引き続き人間が担っていくとの見方が強いといえるだろう。
こうした時代の転換点において、将来の自身のキャリアプランをどのように考えている人が多いのだろうか。アデコ株式会社が全国2,782名の働く人を対象に行った「キャリアプラン」に関する意識調査(有効回答:2,782人)によると、「現在、将来に向けたキャリアプランを描いているか」という質問に対しては、男女とも「特に考えていない(男性49.1% 女性42.5%)」が最も多かった。また、「自身のキャリアについて考える理由」については、「キャリアを自分で考えて構築し、より良いキャリアを実現したい」と回答した人が男性は36.3%、女性は41.6%となっており、女性のほうが積極的にキャリアについて考えているといった傾向が見られた。
多くの従業員が勤務先に学びの機会の創出を求めている
デジタルエコノミー時代が訪れつつある中、自らのキャリアをどのように形成していくべきなのだろうか。前述のエン・ジャパンの調査によると、「『AIが進化し、代替する業務がある』ということを前提に置いた時に、どのようなことを心がけてキャリアを積んでいくべきか」という質問に対して、以下のようなコメントが寄せられた。
・会社の看板や資格に依存しない働き方、自己ブランディングを意識した働き方を目指す。
・自分のしたいこと、やりたいことは何なのかという、素朴な問いかけに対する答えを用意しておくこと。
・自分でなくてはいけない理由を明確にして、介在価値を生むこと。
・人間らしさを尊重し、全ての仲間に配慮する思慮深い考え方を心がける。
またアデコの調査で、「勤務先に対し、社員のキャリア開発についてどのような支援をして欲しいか」という質問をしたところ、「研修やセミナーなどを受講する機会の創出」が男性31.3%、女性30.8%で最多となり、「特にない(男性33.7%、女性31.0%)」がそれに続いた。
個人のキャリア形成に企業がどこまで関わるかは、企業側も従業員側も互いの動向を掴みきれず、まだまだ不透明のようだ。
デジタルエコノミーの時代の到来によって、人々の働き方は大きく変わろうとしている。そうした波に乗り遅れないためにも、従業員・企業ともに、将来に向けたキャリア形成について真剣に考え、取り組んでいく必要があるだろう。
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