若者から何を学ぶのか。リクルートの「若者から学ぶ大人」実態調査から見えたこととは?

経験を積んだ大人が、『若者』という自分たちとは異質なものから新しい視点を見出すことが、学びにつながる可能性もある。株式会社リクルートマネジメントソリューションズは、2018年3月に「若者から学ぶ大人(2018年3月)」の実態調査を行い、どのくらいの大人が若者から学んでいるのか、また学んでいる人と学んでいない人との違いについてのインターネット調査を行った。回答者は30歳から65歳までの会社員444名で、男女比率は半々。

調査の結果、「若者から学んでいる」と答えたのは全体の約2割、「若者に知識・スキルを教えている」と回答した人は約4割となっており、大人は若者を学びの対象というより教える対象として見ている人のほうが多いことが分かった。

性別でみると、最も男女差が大きかったのは、若者に対して「知識・スキル」「考え方や価値観」を教えているという項目だ。大人の男性の方が女性よりも、自分の持っている知識や考え方を若者に教えたがる傾向があることがうかがえる。

次に年代による傾向を見ていこう。ここでは、30代、40代、50代に分けて集計し、最もネガティブな「全くあてはまらない」を1点とし、回答がポジティブになるについて1点ずつ増加、最もポジティブな「とてもあてはまる」を6点とし、平均点を出している。「若者から知識・スキルを学んでいる」「若者から、自分にない考え方・価値観を学んでいる」については年代が上がるにつれて得点が下がっており、特に後者は30代(3.9)と50代(3.5)では0.4ポイントと開きが大きかった。

では、若者から学ぶ人と学ばない人では、何が違うのだろうか。

それについて、「若者から学ぶ志向が高い人たち」、「若者から学ぶ志向が低い人たち」をグループに分けて分析している。それによると、若者から学ぶ志向が高い人たちのグループでは、「最新技術・情報」「柔軟さ、新たな発想」などについてのフリーコメントが多く集まる傾向にあった。以下にその一例を紹介する。

・新しい技術力や新感覚についての商品について若者たちから学べる
・若者の柔軟さや新しい発想からは学ぶべきことがある
・従来のやり方以外の新しい方法を生み出せる

ほかにも「同期同士はライバルではなく仲間意識が強い」といったコメントもあり、「競争より共存」の意識が高い若者の特長も垣間見える。

一方、若者から学ぶ志向が低い人たちのグループでは、以下のようなネガティブな意見が多い傾向だった。

・愛社精神はなく、転職ありきで考えている
・少しでも厳しいことを言うと、反抗的な態度をとることがある
・すぐに嫌な仕事から逃げようとする・誰かがフォローしてくれると思っており、自己責任感に乏しい

この調査を受け、リクルートマネジメントソリューションズ事業開発部 主任研究員 桑原正義氏は、「自分の価値観にとらわれずに若者から学ぶ大人が増えれば、お互いの違いや強みを生かし合える社会や組織づくりにつながる」と述べる。

たしかに、若者から学ぶ志向が高い人と低い人とでは、若者に対する捉え方に違いがある。若者から新しい生き方や発想を学べるという前向きな意見がある一方で、自己を重視した若者の姿がわがままで利己的と捉える人も少なくない。しかし、こうした違和感を学びのチャンスと考えることで、新しい価値観が生まれ自己変容につながるだろう。

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